その13 CX500Turbo & XJ650T

バイク進化の一つの提案



HONDA
CX500Turbo

YAMAHA
XJ650Turbo



無縁レベル:3






60年代終わり~70年代にかけて日本車の信頼性と性能を世界に対して見せつけ、
さらに国内では様々なジャンルをラインナップしていきました。


そして80年代、
新しい技術が市販車だろうが惜しみなく注ぎ込まれて行きます。


その中の一つとしてターボチャージャーの搭載がありましたが、
4メーカーの中でこれに先鞭を付けたのはHONDAでした。





Honda CX500 Turbo 6
CX500Turbo('81)


先だって登場していた、縦置きVツインを採用するCX500をベースに
IHIのタービンを装着した先駆けのターボマシン。

なぜHONDAお得意のハイスペック4気筒機ではなくこのバイクが選ばれたのか、
察するにCXはこの時代には珍しい水冷機であり
冷却能力に余裕があると判断されたからではないでしょうか。

大型のフェアリングからも想像できます通り、
高速クルーザー的な位置づけのバイクのようです。
驚くべきはその馬力。

CX500は50馬力/9000rpmという
このサイズのVツインにしては妙に高回転まで回るパワフルなエンジンです。
ちなみにトルクは4.7kg/7000rpm。
これがターボ1個でどの程度パワーアップしたのか?





82馬力/8000rpm
8.1kgm/5000rpm



恐ろしいことに馬力は60%増。
馬力1.6倍ってなんぞや。
凄まじいですターボ。
500ccでありながらトップスピードは時速200キロオーバー。
ただし元々軽くは無かった水冷CXにターボ分の装備が追加されてしまい、
車重はこれまた500ccにあるまじき装備重量260kgオーバー

いやまぁ今なら400ccで絶望的な豚車重ドラッグスター400ブルバード400とかありますから
車重的に受け入れられないことは無……いや、
コイツスポーツバイクなんだからやっぱ無いですね。はい。

トルクの8.1kgmという数値も、750クラスに匹敵する高い数値です。

しかもそれをブーストがかかる4500rpmから8000rpm程度まで
広い回転域で発揮するっていうんだから恐ろしい話です。
しかしながらCX500の圧縮比10.0をターボ対策で7.2まで落としてしまったためか、
低速トルクはやはり犠牲になってる模様。
あくまで高速ツアラーだというのであれば、
低速が足りないのはさほど問題はないのでしょう。


ちなみに4社のターボ車の中で、CXだけは後継としてCX650Turboが発売されています。

こちらのほうはとうとう馬力が100馬力に達し、
動力的には時速200kオーバーで走れるツアラーとなったのですが……

ピストン熔解とかタービン焼き付きとか、
熱処理が完全に追いついてないトラブルも続発したとされています。
水冷でピストン熔解されたらもう打つ手ないんじゃ……


そういえばバイクレビュー投稿サイトでCXのレビューが1件だけあったんですが、
燃費が街乗りでリッター21kmってこれカタナよりいいじゃねーか!

HONDAの方向性としてはターボを付けたのはパワーアップよりも
むしろ省燃費が方だったらしくて、意外にも目論見に合致しててびっくり。
さすがHONDA……






さてさて、国産ターボ2発目。
HONDAに続いたのは音叉マークがおしゃれなYAMAHAさんです。




Yamaha XJ650 Turbo 2
XJ650Turbo('82)

これまた大仰なフェアリングを装備したツアラーライクなバイク。
ベースになっただろうXJ650面影が欠片すらありません。
辛辣に言うとかっこ悪くなったなーコイツ。
なんかスズキっぽい

ベースマシンXJ650は空冷の並列4気筒
71馬力/9400rpm
5.5kgm/7500rpm

なかなかの高性能です。

この頃のYAMAHAはロードスポーツのメインシリーズではまだXSを扱っており、
他社が4気筒にシフトしていたにも関わらず2気筒や3気筒で頑張っていました。
それがXJシリーズとして4気筒にシフトしてきた最初期のバイクがXJ650になります。



ターボの追加でスペックがどうなったか。



90馬力/9000rpm
8.33kgm/7000rpm


……まぁHONDAがインパクト強すぎたせいか控えめな数値に見えます。
なんせ空冷のままターボ付けてしまったので
熱的に厳しくあまりブースト圧をあげられなかったのでしょう。
それでも空冷の650ccが90馬力ってやり過ぎではあるんですが。

ついでにターボではインジェクションでのシビアな燃料の調整が不可欠とされていますが、
XJターボはなんとキャブレター仕様というアナログな燃料系。
フィーリング的にもレビュー漁る限りいわゆる「ドッカンターボ」には遠いみたいです。
なんかとりあえずターボ積んでみた感がすんげーするなぁ……。


ちなみに車重はXJ650の乾燥206kgから30kg増えて乾燥235kg。
装備で257kgだそうでコイツもやっぱ重い……


恐ろしいのはこのXJターボ、リアがドラムブレーキだと言うこと。
時代を感じますねぇー止まらないらしいです、ブレーキ。


ヤマハあんまりヤル気なかったんじゃないかなーとか思ってしまいます。
何よりデザイン的に。





先発の2車でしたが、XJに関してはターボらしいターボにはならなかったようです。

そもそもエンジンのレスポンスが良く、
車重と馬力の比(パワーウェイトレシオ)も車よりかなり低いため運動性は優れており、
車重を増やすような装備でパワーアップする必要もあまりありません。

かつターボにはターボラグと呼ばれるアクセル入力からパワー出始めまでのラグがあり、
レスポンスの良いバイクにとってこれは致命的な問題となったのでしょう。
かと言ってラグを抑えれば抑えるほどターボらしさを失い付加価値が無くなる。
またスペース的にも少ないバイクでターボの信頼性を高められる冷却系を詰め込むのも
当時としてはかなり厳しかったのではないかと思います。
完成度が割と高いと言われるCXでさえ結局は熱問題を抱えていますし……。


次回はこの2車に続くSUZUKI、KAWASAKIのターボ車です。

2011/07/26 12:21 | 無縁レベル 3COMMENT(3)TRACKBACK(1)  TOP

コメント

No title

CXははじめてみたときのフロントカウルの
鏡文字TURBOが印象的。
当時は車にもあったような・・・面白い時代だなぁ

No:887 2011/07/27 21:41 | #- URL [ 編集 ]

No title

宮崎に住んでいた時、信号GPでCX500TURBOにあっさり負けてしまった。たかがOHV500の2気筒で、あの加速力は異常だ。機会があれば、一度乗ってみたい。

No:888 2011/08/26 22:04 | 1100刀 #- URL [ 編集 ]

現役です。

現在CX500に乗っています。全く錆の無いコンデションの物を手に入れて大切に乗っています。最近の若い人は知らないようで、無視されます。ターボと言うステッカーを貼って喜んでいるおっさんに見られます。でもエンジンは絶好調。週1で遠出しております。

No:2360 2014/05/26 12:54 | 1483 #- URL編集 ]

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