その14 XN85 & 750Turbo

普通にスポーツできるターボ

SUZUKI
XN85



最後発の最強危険ターボ

KAWASAKI
750Turbo



無縁レベル:3




先発のHONDA、YAMAHAに続いたのはSUZUKI

見向きもされなかったカタナことGS650Gをベースに、'82年に登場しました。



Suzuki XN85Turbo 84 3
Suzuki XN85Turbo 84 5
XN85('82)

ターボ車中唯一排気量をもじった名称が与えられなかったXN
開発ネームがそのまま車名になったようで、85は馬力から来る数値だそうです。
ベース車が650Gなので排気量は673ccとなっております。
どのメーカーも中型エンジン+ターボだったんですね……。



スペックをザッと挙げると--

空冷673ccDOHC2バルブ並列4気筒
最大出力85馬力/8000rpm
最大トルク7.8kgm/7500rpm
乾燥重量225kg/装備重量246kg
最高速206km/h


ベースになったGS650Gはというと

空冷673ccDOHC2バルブ並列4気筒
最大出力73馬力/9400rpm(国内向け65馬力/9500rpm)
最大トルク5.8kgm/8000rpm(国内向け5.3kgm/8000rpm)
乾燥重量218kg(国内向け乾燥210kg)
最高速200km/h




………………えーと。
ターボ付ける必要あった?


12馬力アップ!
最高時速6km/hアップ!!
地味ッ!!!




--と、たくさん突っ込むところはあるんですがとりあえず置いておいて、
最高出力やトップスピード等で見ると確かにこれは張りのないバイクに見えます。

しかし最高出力ではなく、回転数やトルクに注目してみると……

最高出力の回転数→下がってる
トルクの数値→大幅に上がってる(回転数も下がってる)



最高出力はトルクと回転数の積算になるため、回転数が高いほど馬力が出ます。
650Gから回転数が下がっているにもかかわらず馬力が上がっています
それだけトルクが膨らんでいるわけですが、
高回転でターボを効かせて最高出力を伸ばすのではなく、
中速付近からターボを効かせて広い回転域のパワーを補佐するタイプがXN85だと言えます。
言ってみれば近代的なターボの用法です。


HONDAも出力を伸ばすよりは広い回転域でターボを効かせ効率を上げ、
かつ小排気量でも高速巡航できるように馬力(出力)もそれなりに上げていました。
しかし中身を見てみれば小排気量(500ccクラス)とはいえ車重は軽いとは言えず、
熱的な問題も抱えていたわけですからターボのメリットはあまりなかったように思います。


対するXN85はターボで徹底的に中速をサポートすることで、
よりNAに近いターボ車を実現しようとしていたと考えられます。
Line
これはXNと他車を比較したエンジンの性能曲線図です。
上半分に注目してみると、
4000rpm~6000rpmあたりの回転域でXN85の馬力がGS1000Gを上回っています。
高回転で発生させた高出力を生かすためには、
高い回転数をキープしたまま走るという技術が必要になります。
しかしXN85はそういった必要が無く、あくまで普通に走りながらも、
ワンランク上の排気量並みの加速ができるわけです。
レビューを漁ってみると急激なパワーの変化やターボラグがかなり抑えられ
普通のバイクのように乗り回せるとされています。
まぁそれはそれで、走っててターボの存在感が無いということになるわけですが。


メリットのないターボ……存在感のないターボ……どっちもどっちだな……。



ちなみにこのXN85、
ピストン裏へのエンジンオイル噴射冷却+オイルクーラー装備という
油冷の原型とも言えるエンジンを搭載しています。
他にも当時のレーサー流行り16インチフロントホイールだの、
リンク式シングルリアサスだの、アンチノーズダイブフロントフォークだの、
後のレプリカブームでプッシュされる技術がいち早く投入されていたりします。


排気量を含まない特殊な名称。
各部に装備した未来を見据えた装備群。
コイツはターボ車であると同時に
次世代のスポーツ車のプロトタイプとして生み出されたのかも知れません。

--1社だけスーパーチャージャーとか使っていたら
あるいは伝説になったかも知れません。







さて、最後発は漢KAWASAKI

走る棺桶ことマッハIII500SSを生み落とし、
ZIZIIで国内外を席捲し、
初期のセクシーさはドコへ行ったのか
何故かどんどん角張ってごつくなるZを展開する随一のKYメーカーです。

そんなカワサキが他メーカーに遅れること2年、'84年に送り出したターボ車がこれ。



Kawasaki GPZ750 Turbo 4
Kawasaki GPZ750 Turbo 3
750Turbo('84)


その最高出力112馬力

もう全力でカワサキです。漢 カワサキです。

とりあえずスペックを挙げてみると……

空冷738ccDOHC2バルブ並列4気筒
最高出力112馬力/9000rpm
最大トルク10.1kgm/6500rpm
乾燥重量233kg
最高速度235km/h


ベースになったとされるZ750FXII

空冷738ccDOHC2バルブ並列4気筒
最高出力74馬力/9000rpm
最大トルク5.7kgm/8500rpm
乾燥重量211kg
最高速度 ???




なんかHONDAバリにパワーアップしてますね。

しかし750Turboの危険度は
スペック上の数値よりも探してみると見つかるレビューにこそ現れています。

他メーカーのターボ車に比べるとしっかりとしたターボらしさ……
というかピーキーさに溢れるバイクだそうです。


2stの二次曲線的加速と似たようなもんかと思いきや、
それとはまったく別次元の加速なのだと。
考えてみたらそもそも馬力が違うわけで、
2stレプなんて二次曲線的と言っても終端は高くて60馬力そこそこなわけですが、
コイツの場合終端が2stレプの2倍近い110馬力ですからね……。

バイク紹介動画で全開走行は危険だとか、
CXとの比較をやってるサイトでは
「ある回転数を超えると急激に加速する(楽しいけど危険)
と注意書きされていたり、
高速に乗るとターボが入るので逆に燃費が落ちるステキ燃費だったり……。


なによりもビックリしたのは雑誌のインプレ。

雑誌のインプレとはスポンサーの関係で基本的に悪いことは書けません。
あくまで基本的に、ながらこの基本的に、は非常に重いのです。

さて、手元のバイク年鑑に特集ページとして掲載されている
750Turboのレビューを引用してみますと……


ターボラグは一番最後に発表されただけあってかなり抑えられており1100を追いかけてコースを攻めてみようという気にさせた。しかし、やはりNAなみのリニア名応答性とはいかない…そこら中でリアが滑りそうになったり、ラインが決まらなかったりで早々にアタックを止めたのを覚えている。


独自要約:ピーキーすぎて攻めるなんて無理

雑誌レビューをして婉曲にヤバイとかかせる750Turbo


未だに現物見たことありませんが、
機会があったら乗ってみたいものです……。





4社のターボ車を紹介していきましたが、
結局後継車が作られることもなく、
ターボ車は姿を消していきました。

しかしながらメーカー純正ではありませんが、
カスタムとして現行車にターボを装着するショップも国内にあり、
果ては個人でターボを装着するライダーも居ます。

ハヤブサターボなんて
200km/h超えてからウィリーして加速していくようなのがいますし……。


例えメーカーが作らずとも
ターボバイクは漢の夢であり、不滅のバイクなのです。

2011/08/06 23:19 | 無縁レベル 3COMMENT(10)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

No title

御初コメです


ZX750Eは好きで長く乗ってました~。

その頃(89年頃)某雑誌の最高速チャレンジって企画で

富士にしょっちゅう行っていまして、最後の頃は

その頃のスーパーバイクとどっこいの260キロ以上を

ノーマルエンジン+ノーマルタービン+ノーマルタイヤで出てました。

 今でも乗りたいバイクです。

あの加速はタマラナイ!!

No:892 2011/11/10 00:56 | アキラ #- URL [ 編集 ]

No title

>アキラ様
コメントありがとうございます。
まさか当時乗ってる方からコメントをいただけるとは恐縮です。
この世代の車体構成で260キロ……近代車両しか知らない若造には腰が引けるような不安定さを想像させられます。
でも刺激的で楽しそうですねぇ。

雑誌だのネットだのの情報をかき集めただけで現物を知りもしない若造が綴った文なので、
経験者の方から見ると目に余る部分もあるかと思いますが、
なにかとご教授いただけたら幸いです。

No:895 2011/11/10 02:42 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

これ凄いよ

750ターボ(ZX750E2)とGPX750R(ZX750F1)持っているけど両方も面白いバイクだよ。ターボの方はアフターパーツがないからGPXよりもカスタム化するのがちょっと難しいけど。(まあGPXもそんなに無いか。)今80年代のヨシムラGS1000用のエキパイがあるから何とか時間があれば溶接したいのだが。

No:1646 2013/11/10 12:11 | 米国忍者 #- URL [ 編集 ]

返信

>米国忍者さん
コメントありがとうございます。ひょっとして米国在住の方でしょうか……?

ZZR600は指摘いただいたとおり、実際はあまり軽く無いんですよね。
というか90年過ぎの750は割と重く、逆にレプリカ期中期のマシンは
中間排気量がかなり軽いですね。GPX600RがZZR600より全然軽いです。
記事を書いていた当時はGPXを掘り下げたこと無かったので
中間排気量輸出車まで比較に入れてませんでした……。

GPXが米国初750Ninjaというのは初めて知りました。
750輸出は106馬力でしたか、日本国内は750規制と77馬力規制で、
輸出750が目立たない状態でしたから意外と盲点ですね。
しかし集合管左とは珍しい……。

で、750ターボまでお持ちとのこと。
GPZやらZZRに比べればどちらもパーツが無いでしょうね……。
GPXもターボも、イマドキのタイ製NINJAに跨る若者達は知らぬ名でしょう。
GS1000用とはまた時代がかったものをお持ちで、
確かにブーストかかってるならエキパイも多少太い方が良さそうな気が。
「溶接したよー」のご一報を楽しみにしておりますw

No:1650 2013/11/10 14:18 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

久しぶりです。
カリフォルニアでmadura 1200に乗ってるものです。
遂に、現物の750ターボを発見しました。
手に入れようか迷っているのですが、なにぶんレアなぶん高いです。 その方はKZ1300(6気筒)も所持していて、羨ましいです・・・

更新を楽しみにしてるのですが6気筒特集とかいかがですか??

No:2536 2014/07/31 14:05 | たろう #- URL [ 編集 ]

返信

>たろうさん
更新がまちまちになってお待たせしております。
古いし知名度も……と思っていたので高いのはちょっと意外ですww
KZ1300も所持て……。
6気筒特集、いいですねぇwwww
8月分くらいまでは予定が決まっているので、
ひょっとしたらその後シリーズ入るかも知れないですww

No:2544 2014/08/04 20:41 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

近代的なターボww

スズキは先見の明といいますか、数十年の未来も見越しています 100年後にはスズキブームが到来するでしょう

No:3417 2015/04/30 12:46 | matu #- URL [ 編集 ]

スズキターボエンジンの復活?!

今年2015年のモーターショーにてスズキのターボエンジンが御披露目されてましたがXN85の小排気量で大排気量を喰うコンセプトが正しかった証明なるか?!というところてすが如何なりますやら。個人的には大応援していますけど!

No:3954 2015/11/15 23:08 | 弾丸 #- URL [ 編集 ]

実車が三式戦闘機飛燕と一緒に展示されてました、

帰って写真チェックしたら
ちゃんと保護チューブ付きのワイヤーで前輪の固定がしてて感心しましたね。

三式戦闘機のほうもがっちりとしたスタンド付きでした。
11月3日まで神戸のポートターミナルで展示されてます。



No:4566 2016/10/27 22:31 | 九州急行 #mQop/nM. URL編集 ]

どうしてこんなに空冷ばっかりなの?重さのせい?時代のせい?
ターボつける前に水冷にしろと思ってしまいます。
初心者な自分に教えていただけると嬉しいです。

No:4823 2017/07/05 13:42 | #- URL [ 編集 ]

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