その19 SW-1

レプリカブーム末期に生み落とされた謎のおしゃれバイク



SW-1



無縁レベル:3






レプリカブーム

'83年のSUZUKI RG250γを皮切りにまんまレーサースタイルの車種がリリースされ、
以後10年ほど中型クラスに過激なバイク達が幅を効かせた時代。


速くなければバイクにあらず。

まるでそう言わんばかりに売れたのはレプリカばかりで、
今でこそそれなりに持て囃されているビッグスクーター フュージョンなどは
生まれた時代を間違えたばかりに登場当時は人気がありませんでした。

'90年代に入るとゼファーの登場によりネイキッドブームが始まり、
スペックに縛られないフレンドリーな単車が持て囃されたとされていますが、
それでもネイキッドの原型は旧車のロードスポーツ
曲がりなりにもそれなりの走行性能を持ちます。
結局の所ゼファーはレプリカブームを衰退させるものの
ライダー達をそれなりの「スポーツ車」から完全に離れさせるには到らなかったように思います。

それがやがてジャメリカンのデザイン改善シブヤ系な単気筒の台頭、
そしてビグスクの登場等々があり、
90年代は非常に目まぐるしく市場の趨勢が変移した時代でした。

ある意味過渡期とも呼べるこの時代は各メーカーとも
バブルから残っていた体力を無駄遣い使って
奇妙なバイクをいくらか生み出しています。

そんなバイクの一つ、SUZUKIが生み出したバイクがこれ。







sw1.jpg
SW-1('92)



う……うん?


'92年登場のSW-1です。(通称:便器)


パッと見るとイタリアっぽいオシャレバイクに見えなくもありませんが
3秒見てると「いや、なんか違う」って思えてきます。

雰囲気はレトロなんですがよくよく見るとレトロではなく
レトロを勘違いしたナニモノかという結論に行き着きます。


奇妙なフルカバードボディに搭載されたるは空冷4stOHC4バルブの単気筒249cc
20馬力/8000rpm
2.1kgm/5500rpm

と生まれた時代を考えれば恐ろしいほど非力なエンジン。
ガソリンタンクと思しき部分はトランクスペースになっており、
タンデムシート下の両サイドにもトランクスペースが付いています。


一応の所開発コンセプトとしてはシティコミューター(通勤車・街乗りバイク)なんですが、
なぜそのコンセプトでこんな日常から乖離したデザインになったのかです。


SW-1-08.jpg

どの方向から見てもこの異常さ。

何を着て乗れば似合うのかまったく分かりません。
登場した'92年はまだまだレプリカが元気だった頃なので、
全く走らないエンジンを搭載した上にこんなナリしたバイクなんて当然売れません。
逆にこんなナリでキビキビ走られてもそれはそれで怖いですが。

価格は新車で688000円
ゼファーは529000円。
当時のNSR250R SEが660000円

価格はレプリカ並みでもっさり走らないエンジン+謎デザイン……

そりゃーゼファー買うよ。


わずか4年ほどでラインナップから消え失せてしまいます……が。



ビグスク・アメリカンが幅を効かせ始めるとスペックなんて見向きもされず、
むしろこの奇異なデザインが微妙に人気を集めてしまい
市場に出た台数の少なさ(1400台と言われます)と相まって現在でもSW-1の市場価格は
15年以上前の250ccとしては異常に高いです。
外装部品なんて恐らくもう出てこないので、キレイな車両は高値で取引されます。


HONDAの場合ですとフュージョンなどは一度ラインナップから消えるものの、
市場が受け入れモードになると再販するという商売魂盛んなもの作りをしています。

ところがSUZUKIは多少評価されようが再販など見向きもしない。
かつて作っていたバイクの再販なんて以ての外と言わんばかりです。
男らしいのか空気が読めてないのかは不明ですが……。


逆にSUZUKIが同じ名前の新型をリリースするととんでもないことになることも多々あります。
同じ名前を使ってこんなん作ったり……。

そう言った超絶改悪を避けられたSW-1は幸せだったのかも知れません。



個人的な評価としては

こんなスタイル、刀と同じく見たこともねぇバイクなので結構好きなバイクです。
ハッキリ言ってこれを乗りこなす自分をまったく想像できません
後追いのように似たようなバイクばかりが並ぶ市場では非常に好感が持てる車種です。
価格がもう少し落ちて再販されるようなことがあれば、
足バイクとして欲しいところです。

さらに個人的な妄想。

水冷化した650cc単気筒で作り直してはどうか?

現在でもSW-1オーナーの多くがその動力性能に苦言を呈しています。
そもそも動力的に諦めが付く自動変速のスクーターと違い、
コイツは元々マニュアルミッション車なのです。
4気筒並みの車重が災いしてか、鈍いと言われることが多いのです。

それならDR650系の単気筒を水冷化、
3000rpmくらいでピークトルクのでる極低速エンジンに仕上げ、
とにかくピックアップ重視のコミューターにしてみては?と思います。
まぁ650ccは個人的な要望なので、現実的に考えるなら
スカブー系250cc単気筒を積んでAT化してしまうか、
同じくスカブー系400cc単気筒を積んでそこそこピックアップを上げるかでしょう。
400ccになれば動力的にはかなりマシになると思われます。

YAMAHAのSR潰し(?)にコイツが再販されないもんでしょうか……。

2011/09/26 20:53 | 無縁レベル 3COMMENT(12)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

これ、持ってました

少しの間のってたんですけど、自分が乗るならやっぱあれだよなと、ベルトドライブをチェーンに換装したり、ウィークポイントのフライホイールを強化したり、スタンドのサポートバーをつけたり、あれこれ手を加えて楽しかった覚えがあります。パーツの互換性がほとんどないバイクというのはそれはそれで楽しいというか、昨今のメーカーの姿勢を考えると贅沢なバイクで満足感が増すというか。

今でも所有していればエンジン換装はしていると思います。しかし名の通りシティコミューターとしては成功しているデザインだなとタンデムで乗って思います。(現在では受け入れられるからですけどね。私は当時からびびっと来ていましたが)

鈍重という言葉はこのバイクのためにある。

スズキ、なぜ売り出す前に気づかなかった?よりによってあのクソエンジンを積むなんて。

ちなみに外装部品は馬鹿ほど高いです。壊すと泣きみます。

No:1131 2013/02/22 13:11 | てんちょ #tHX44QXM URL [ 編集 ]

Re: これ、持ってました

>てんちょさん
コメントありがとうございます。
本当に贅沢なバイクだと思います……非常にバブリィなバイクです。
今見てもスタイルはキワモノですが、ビグスクが下品なデザインばかりの今となっては
見ていてある種安心するスタイルです。鈍重なのはビグスクも同じですし。
あの格好で外装壊すとか考えたくないですね…………

No:1133 2013/02/27 01:08 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

スズキのSW-1

実は、私もこの高級便器に魅せられてネットオークションで中古車を購入しました。
やはり当時 は、高いしメインで乗るバイクじゃないしで買いませんでしたが、不惑の歳にもなり嫁とタンデム街乗りツーリングにもってこいで購入いたしました。
メインで乗っているバイクはゴールドウィング2005です。
この、ふり幅を楽しんでるところです。
私は、スーツに革靴で乗り回したいところです。

No:1195 2013/04/13 00:02 | けいさん #0tsrReHM URL [ 編集 ]

Re: スズキのSW-1

>けいさん さん
コメントありがとうございます。
まさかこのバイクのオーナーさんからコメントを頂けるとは……
sw-1で奥様とのタンデム……あぁ、当時のカタログのような優しい雰囲気が感じられます。
まさにコンセプト通りに愛されている幸せなsw-1が居て、妙な話ですが安堵します。
ゴールドウィングの車重がしんどくなってもsw-1があるなら安心ですねw

No:1199 2013/04/15 23:43 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

これこそ求めていたバイク

なにか古めかしいバイクはないものかと探していたところ、
レトロ括りでSW-1を見つけてしまい、一瞬で虜に。
学生ゆえ資金面の都合で1年近く悩んだ挙句購入、先週納車されました。

なんといっても、唯一無二の外観。
一度バイクショップへ停めようものなら、見知らぬおじ様方に声をかけられ。

これからのバイクライフを満喫できそうです。

No:1301 2013/06/08 13:05 | おちゃっぱ。 #- URL [ 編集 ]

Re: これこそ求めていたバイク

>おちゃっぱさん

コメントありがとうございます。
SW-1納車ですか!
学部生時代にマットブラックのSW-1が校内においてあって興奮した記憶がありますが、
あのルックスは駐輪場で非常に目立ちます。
速くは走れませんが、のんびりのんびりSlow Wheelライフをお楽しみください。

No:1308 2013/06/12 09:10 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

思い出の一台です

はじめまして。最近ここの記事に気づいて楽しく拝見させていただいています。

94年の秋だったでしょうか、父親が一目ぼれしたとかなんとか騒ぎだし、SW-1を突然購入したのは。そして、一週間後に我が家へコレが。しかも新車なのに30万8千円引きという外観にも負けない恐ろしい価格で。

お前も乗っていいと言われたものの、当時の私は高2の小僧。単車仲間はレプリカやスポーツネイキッドばかり。私は、リミッター切ったDT50でお茶を濁しつつも、本当はSDRが欲しくて欲しくて貯金の真っ最中でした。

で、家の近所には大〇水、〇ビツ、道〇道・・・数えきれないほどのワインディング・・・必然的にSW-1で攻めてみるという暴挙に及ぶ訳です。いかにも走らないと思いきや、これが意外と良く曲がる車だったんです。加速時はさすがにエンジンに無理させないといけませんが、車重の割に倒し込みも軽く、素直な旋回特性でした。リアが15インチの140という不思議なサイズだっとこと、もあるのでしょうが、すぐに摺ってしまうステップをを無視して、倒し込んだ側の片足をヒョイと持ち上げ、更にバンクを深くしても挙動、グリップともに安定していました。結論から言うと、センタースタンドを摺るまで寝かしても大丈夫です。
非力故、オーバースピードでコーナーに突っ込んでバンクを深くせざるを得ないことが多かったために知ることが出来た特性でした。低速域でもハンドルの切れ角も多いので、体重移動とセルフステアを駆使すれば車体に似つかわしくない小回りを見せてくれました。重いだけで、扱い方的にはやっぱり単気筒の250です。なので、まあ友人達のまともなバイクともワインディングでなら真正面から張り合えた訳です。
(無理し続けた結果、後にフロントを大破させたり、センタースタンドが地面に突き刺さり、両輪が浮いてスピンして放り出され骨折したりしました)

ただ、二―グリップはタンク風の小物入れの突起部がヒザ内側の一点(というかモロ骨)にぶつかり、恐ろしく違和感がありました。今にして思えばスポーツ走行など想定していないと単車自身が主張していたのでしょう。事故っては純正部品買ってきて自分で修理ばかりしてました。最終的には余裕で単車一台買えるくらいの金額をブチ込み、父も呆れ果てる始末。

でまあ・・・友人達からは当然変態扱いです。
こっちはもうヤケクソです。どうせ目立つのなら派手にやらかしてやろうかみたいな。でも、心のどこかでお洒落を意識しているから、乗る時の服装とかは考えてましたね。そういえば。

これを皮切りに、私の車歴はひたすらマイナー路線へ突き進み早20年。そろそろまた変なのを探してこようかと思っていますので、今後も参考にさせていただきます。

長文になり、大変失礼しました。

No:3690 2015/07/30 00:06 | リーザ #3t9l9Pc6 URL [ 編集 ]

返信

>リーザさん
コメントありがとうございます。
オヤジさんアクティブだ……そして30万引き!?! えぇぇぇぇ……
さすがに高2でこれを良しとできる感性を持ち合わせている方はなかなかおりますまい。
微妙な小径タイヤが聞くんですね。ステップは諦めるとして。
う~んなんというか羨ましい入れ込み方をされていたようで。
なにか奇妙なバイクがお手元に来たらコメントをくださいませ。

No:3723 2015/08/07 21:33 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

反応ありがとうございます

随分と時間が経ってますが、ありがとうございました。ご丁寧に供養してくださってSW-1も幸せ者ですね。

奇妙なものではなく、まともな類のを先日入手してしました。知人から引き継いだ程度の良いランツァ後期型ですが、これはこれで大事に乗ります。昨年18年間所有していたSDRを手放したはずなのに、また2ストなんですね。これが。

でも、そういえばまだ変なの持ってました。自分。
04のFES150パンテオンです。異常な形相のコレをそろそろ復活させなければなりませんね・・・。セル付きのスカッシュ三型も一緒に。

No:3878 2015/09/27 23:29 | リーザ #- URL [ 編集 ]

すごいですね!オーナーまたはかつてのオーナーの書き込みばかりだ!私はまだすれちがったことすらありませんが、これからもすれちがえるんだろうか?と思っていた自分が間違っていたのかも知れないと思い始めています。合掌。

No:4041 2015/12/28 20:48 | jf0qon #- URL [ 編集 ]

アニメ

今週からアニメで『ばくおん‼︎』が始まり、1話を観たら、主人公の女の子が免許を取りに行く時に、さりげなくSW-1が停まっていました。
スタッフの皆様、良いセンスしています(^^)

No:4278 2016/04/09 20:10 | 僕、ブースカれす #- URL [ 編集 ]

SW-1のルーツ

懐かしく読ませていただきました。どうもありがとうございます。
このバイクが開発された頃はメーカーもユーザーも元気でしたからねぇ。実際、バイク雑誌は400頁あっても記事が50頁で残り全部が広告って時代でしたから。

それはカスタムバイクを作っていた業者も同様で、モーターショーには毎年力作が並びメーカーにも影響を与えていた事は、ロードボンバー=SR500の例を見てもお分かりだと思います。

思うに、SW-1のルーツというか、先行した類似のカスタムに、クラフト滋夢+久保Mで販売していたCB250RS用のパーツでトライアンフTT100外装キットがありました。何故覚えていたかというと、雑誌で紹介されているのを見て真剣に購入を考えていたからです。そして、そうこうする間にSW-1が発売されました。考えてみると、当時はたかだか120万円の日産Be-1の中古車に300万円のプレミア値がついてしまった狂気の時代。レトロ的なパイクカーはその後もヒットを続けていたので、そのコンセプトに近いものをバイク業界に持ち込んだモデルがスズキSW-1だったのではないかと思います。ですから、価格もデザインも、ネーミングすら驚くほどではなかったですね。

当時はRZ250にTZ250のカウリングを装着できるキットなんて馬鹿売れでしたから、アフターマーケットとメーカーがイタチごっこで一気に過激レプリカまで行ってしまうような時代でした。余談ですがカスタムクラフト滋夢の代表作は、耕運機ハンドルのGSX750S KATANAをパロったハーレーSS1200の弩級カスタムNAGINATAかな。

つい懐かしさのあまり長文になってしまい申し訳ありませんでした。

No:4551 2016/10/09 23:06 | シングルじじい #- URL [ 編集 ]

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