その20 Inazuma

どう足掻いてもSUZUKI



Inazuma



無縁レベル:2




90年代半ば頃から小排気量~中間排気量クラスのバイク市場では、
ロードスポーツ台頭によるレプリカ系が衰退し
追い打ちを掛けるように排ガス規制の施行によって2stスポーツが生産終了します。

それに伴って4stでさえレプリカ勢も姿を消し始め、
入れ替わるようにストリート系単気筒から続きビグスクの勢力拡大と
実用的なバイクが市場において幅を効かせ始めます。

そうして各社スポーツ車を絞り始める市場で、
スズキは新たなる方向性を持つロードスポーツを送り出しました。










Suzuki Inazuma 400 97
Inazuma('97年)



油冷4stDOHC4バルブ並列4気筒399cc
最大出力 53馬力/11000rpm 
最大トルク 3.7kgm/9500rpm
乾燥重量187kg



スタイル・スペック共にごくごくフォーマルなネイキッドバイクです。
油冷以外。


手元の資料には
「400クラスとしては唯一のDOHC油冷4気筒エンジンを搭載。」
などと書いてありますが、
そもそも油冷なんてSUZUKIしか作ってねーからね
(一部例外有り)


油冷エンジンとは以前書いた通り、
本来はエンジン重量を削るために生み出された冷却方式であり、
性能のためのファクターであるといえます。
しかし90年代にはいると油冷エンジンを搭載していたGSX-Rシリーズは水冷化
このことから性能は結局の所 油冷<進んだ水冷 となったわけで、
油冷エンジンは立ち位置が微妙な存在となってしまいます。

そこでSUZUKIが打ち出したのは油冷エンジンのキャラクター化とでも言いましょうか。
速く走るための油冷ではなく、
こだわり、趣としての油冷を推し始めます。


同時にこの90年代、400クラスネイキッドでは
性能重視の水冷ではなくあえて趣の方に重点を置き空冷を採用する、
レプリカブーム以前の空冷ネイキッドのような
旧世代型ネイキッドが人気を集めていました。
ゼファー400XJR400と言った車種です。

この頃のSUZUKIのネイキッド系と言えば
デザインでどう考えても浮くカタナ
バリバリの近代スタイルのバンディット
旧車チックだけど水冷ガチエンジンのインパルス


とてもじゃないですが太刀打ち出来ません。


というわけで恐らくSUZUKIはゼファーライクな
「いっちょ性能に縛られない旧世代型を出してみっかなー!」
と言った感じでイナズマを作ったのでしょう。
これなら行けると思ったはずです。





しかし




水冷から空冷という技術の逆行は、
「古き良き」を求める"バイク乗り"に温かく受け入れられました。
空冷機というのはバイク乗りが懐かしめるバイクなのです。

イナズマの油冷はどうだったのか?
そもそも油冷機なんてのはSUZUKIしか作ってなかったわけで、
新型たる水冷が旧型たる油冷に逆行しても
油冷で懐かしめるのはSUZUKI乗りだけです。


片や単車乗りに懐かしんでもらう空冷機
片やSUZUKI乗りに懐かしんでもらえる油冷機



ターゲット狭すぎ。

イナズマの知名度、流通状況から見ても空冷機には遠く及んでません



油冷エンジンには油冷エンジンなりの乗り味というものがあるようで、
誌面でよく語られるのは「油冷らしい分厚い低速トルク」が挙げられます。
しかし元々回さないとマトモに走らない400cc4気筒で、
低速に特化させたものなんて作ったらもっさり回らないエンジンになること受け合いで
クソかったるいバイクになって終わりになりがちです。
しかもイナズマ以前に低速トルクの鬼たるカタナ(水冷)という先輩がいます。
低速強い?いまさら?と言われそうです。

この排気量における油冷エンジンの乗り味など
恐らく一般ユーザーの気を引けるほど主張の強いものではなく、
旧世代型なスタイルだって
コイツより遙かに軽やかに走るインパルスも持っている要素です。

そりゃ似たようなスタイルなら軽やかに走る方を選びます。はい。


油冷を売りにしたはいいけどそれがどうした状態
「それでもボクは、油冷がいい。」
とでも言うような希有な人向け
全力で狭いターゲットに向けたマニア向けバイクです。

だいたいSUZUKIだって空冷の名機 FSインパルスがあるんですから、
空冷じゃダメということはないのです。




--と、ボロッカスに書きましたが、
イナズマは400ネイキッドの中ではかなり大柄な車体を持っています。
これはイナズマのベースとなったのが輸出仕様だった750なので、
750クラスと共通サイズの車体と言うことになります。でかいわけです。
リアタイヤなんて幅170、当時のリッターSS御用達のサイズでしょう。
ビグスク、小排気量アメリカンで行われている見栄だけの大きめの車体に通じるものがあり、
たまにその大柄さを目的にイナズマに乗っている人もいます。

あれ、ますます油冷じゃなくてもいいんじゃ……。


--まぁそのせいで400ネイキッドとしては異様に重い187kgという乾燥重量ですが。

超重量級油冷
やっぱりコイツ油冷の意味が……






ちなみにイナズマファミリーは400 750 1200とラインナップされていました。
750は端から輸出仕様のため国内ではまずお目にかかれないレア車。
--750なんて国内制度に合致していると思われる排気量輸出仕様
謎です。

それに対して1200は一応国内向けとしてラインナップしていました。


ワンクラス上の車体を持つ400に対して
イナズマ1200は恐ろしいことに400と車体サイズがほとんど変わりません

むしろ車体はそのままにエンジンだけ3倍にした感じです。
当然リッターオーバー車にしては異常にコンパクトで、
恐ろしいポテンシャルを秘めたバイクとなっています。
まぁ400以上に遭遇しませんが。






せせこましいレーサー全盛期を経て生み落とされた旧世代型ネイキッド。
その市場に見合う一般向けを作ろうとしたであろうSUZUKI。
しかしどう足掻いてもSUZUKIウケしか作れない

イナズマというバイクはこのことを世に示してくれたのかも知れません。

2011/10/16 23:33 | 無縁レベル 2COMMENT(14)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

我が初めての愛車の記事を見つけてしまってはコメントしないわけにはいきませんな(笑
免許をとったはいいけど、お金がなくて親父と共用でKDXに乗っていた大学1年の頃。それから頑張ってバイトして買ったのがイナズマです。
デカくて重い車体に400のエンジンでトルクなんかスッカスカ。コーナーでは変に切れ込む癖があるのに切り返しは重くて鈍重。
しかしながら、いわゆる油冷独特のゴリゴリとしたエンジンフィーリングや唸るようなサウンドは中型なりではあるもののしっかりあります。なにより、周りと絶対被りません。
連れのインパルスやゼファーを前にして
「ん?君のは空冷?君のは水冷?いやー僕のは油冷なんだよねー。オイル交換にお金掛かっちゃって大変だよぉハハッ」などと言って楽しんでいました。
その後イナズマのおかげで油冷エンジンに惚れ込んだ私はバンディット1200S、GSX1400と乗り継いでおります。
親父と共用だったKDXを除けば油冷にしか、スズキにしか乗った事がない私です。
今となっては「ごめーん、僕バイクは油冷の事しかわからないんだーハハッ」と言っては周りに気持ち悪がられています。

No:2218 2014/05/02 17:28 | ネカフェレーサー #- URL [ 編集 ]

返信

>ネカフェレーサーさん
コメントありがとうございます。
油まみれの人が来てしまった……。
油冷=低速なイメージがあったんですが、
仰るとおりでコイツの低速だけは「無い」らしいですねww
まったく妙なエンジンだこと……。
GSX1400は油冷の所有感がありつつケツ下のユーティリティーだとか
実用的なトルク感だとか、結構名車ですよねww

No:2239 2014/05/06 21:28 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

先週の週末に道の駅どうしで
こいつの750を見かけました。。。
オーナーさんいなかったので詳しいことは聞けてませんが、
本物だとしたら、私も人生初です!

ちなみに1200は最寄駅そばのマンションに
ちょくちょく止まってます。
これも十分驚きですが。


ちなみにちなみに、大型へのステップアップ
最初のラインナップ候補です、1200は。

No:2386 2014/06/04 15:50 | 大佐 #- URL [ 編集 ]

返信

>大佐さん
750とは珍しい!
っていうかナナハン規制でかつては大型メイン市場だった750が珍しいって妙なバイクです。
400もたまーに見かける、1200はあまり見かけない。
やっぱコイツも珍車なんですかねぇ……1200は私もちと興味がありますが、
正直持て余しそうですね。

No:2394 2014/06/08 09:36 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

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No:3379 2015/04/15 09:41 | # [ 編集 ]

返信

>ボブの父さん
コメントありがとうございます。
そして免許取得おめでとうございます。
初っぱなからコイツを選ぶたぁ恐ろしい。
機敏よりは鷹揚な性格ですが、それだけに上手く走らせる楽しみはあると思います。
気をつけながらも楽しめるよう、先輩ライダーとしてご指導くださいませ。

No:3387 2015/04/16 22:24 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

以前GSX400Fsインパルスに乗っていて、今はGSX400Fsイナズマに乗っています。燃費は16しか走らないけど、トップギアでも発信できるくらい低回転トルクは結構あります。寒いと、エンジン暖気されてないとボロボロだったけど、イリジウム使ったら改善されたし、加速は腕次第です。

No:3570 2015/06/28 17:20 | zuma乗り #- URL [ 編集 ]

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No:3571 2015/06/28 17:34 | # [ 編集 ]

返信

>zuma乗りさん
カタナ、インパルス、イナズマはなにやら異様に低速が強いみたいですね。
しかしメーター読みの175km/h、やはり上は足らんのですな。
カタナのノーマルでメーター振り切ったとこで限界のようです。
古い空冷機の「リザーブ」名目のオイルクーラーは多いみたいですよ。
なんというか厳しい時代だったんだなぁと遠い目をさせられる話です。

No:3607 2015/07/04 09:12 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

イナズマはいいバイク。

初めまして。

元愛車の記事はなんとなく嬉しいもので。
私は免許を取りにいく理由になったのがイナズマ400でした。単に足が短くて、タンクとシートのところが絞りに絞ってあるため、とにかく足つきが良かったからです。
まあ、足つきと同時に、異常なまでの重量を手に入れましたけど……
しかしその後に乗ったSV400Sと比べても思い切り倒しこめるバンク角の深さと、リアタイヤの太さと車体の丸いボディがマッチして、とにかくスタイルが良いと思っていました。

乗り出した当時、GSR400が発売されて、
「なんだあの変なバイクは」
と思ったものですが、そうですか、変なのは私の方でしたか……

No:3919 2015/10/25 13:29 | 7y #kpjYxc8I URL [ 編集 ]

おはようございます!

おはようございます、朝っぱらからすみませんm(_ _)m
バイクは何でも好きなんですが、今まで250までの流行りのバイクばかり乗ってきて、ビグスクブームの頃はマジェスティ、フュージョン、250チョッパーの頃はTW、ビッグボーイ、今はシグナス125の台湾仕様で時代に合わせて人気なヤツに乗ってきてました(笑)細かい不人気車など入れてくと30台は乗ってきてます^^;基本単機等バカなんですが、中学生の頃から1番好きな部類はネイキッドなんです(笑)そして遂に買おと悩んでいるのがよりによってイナズマ400です☆スズキは今まで好きレベルは普通かそれ以下でしたが、無縁単車墓地群を見てスズキが大好きに(笑)これは保菌者ならぬ鈴菌感染者です*\(^o^)/*ちなみにイナズマ以前に買おうと思ってたのはTWでボバーよりのチョッパーにハードカスタムする予定でした(^^)

No:3967 2015/11/22 07:45 | 翔太 #GaenHm5U URL [ 編集 ]

イナズマ1200

イナズマ1200懐かしいですね。自身初のリッターバイクでした。大型免許が教習所で取れるようになって各社からリッターオーバーのバイクが次々発売されましたが、CB&XJR1300 ZRX1100が乗り出し100万に迫るなか、イナズマ1200は値引きも相まって75万くらいでした。2年くらいでX4に乗り換えたのですが、熱い重い曲がらないタンク小さいとネガなことばかりですごく後悔しました。リッターバイクの脳みそが揺れるような鬼加速を初体験した忘れられないバイクです。今も鬼値引きで購入したVストローム1000に乗ってるので、記事書いてくれたら嬉しいですw

No:3988 2015/11/29 00:30 | ひろし #- URL [ 編集 ]

テラスハウスのメンバーが乗ってるwww

No:4367 2016/05/31 03:20 | #- URL [ 編集 ]

こないだ1200の走行1200キロ車買ったぜ!
一生乗ったるで!

追伸 婿入りしました。嫁は鈴木です。儂もこれから鈴木ですわ😃

No:4518 2016/09/03 15:44 | #- URL [ 編集 ]

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