その27 VT250F

NRの魂を継いだHONDAスピリットの体現車



VT250F



無縁レベル:2




70年代に入り、現在に残る4メーカーも自社の持ち味を確立させ、

2stを得意とするSUZUKI YAMAHA
4stを得意とするHONDA
唯我独尊漢KAWASAKI


といった構図が成立しました。


しかし70年代半ば、オイルショックにより燃費の悪い2st車への風当たりが強くなり、
結果SUZUKI YAMAHAもカタログのメインにも出来るような4stモデルの開発を始め、
2stモデルは一旦市場縮小に転じます。


そんな状況下、'80年8月。
YAMAHAのとある車種の登場によって
後に10年ほど続く2stブームが幕を開けました。




rz250.jpg
RZ250

400からの流用車体が多かった250クラスでは珍しい専用設計の車体。
YAMAHAが熟成してきた2stのパラレルツインエンジン。
さらには市販レーサーTZからフィードバックされたリアのシングルサスペンション。

2stのパワフルさ・軽さから来る性能は400ccクラスに匹敵し、
半年ほど後に発売されたRZ350に到っては
「ナナハンキラー」の異名を冠するまでの性能を持っていました。
(腕がいい人が乗れば750だろうがカモってしまう性能)


こうして2stブームが開幕したものの、
同時期HONDAが持っていた250モデルと言えば--

スポーツ車扱いされづらい単気筒モデルCB250RS
タンクが絶望的にかっこ悪いCB250T Hark
姿は立派だけど単気筒と同レベルの貧弱馬力CB250N

(全部26馬力)

RZに対抗するにはあまりに貧弱。

そこでHONDAには新たな250モデルの開発が迫られたわけですが、
ただスポーツ車を作るのはHONDAらしくありません。
時代に逆らう反骨精神があってこそのHONDA、
いっちょNRレプリカでも作ってやろうということになりました。

NRとは2st揃いのWGPに4stで挑んだ反骨精神の象徴たるファクトリーマシン。
YAMAHAの2stに対抗するコンセプトとしてこれ以上無い物です。


そうして生み出されたバイクが--



vt250f.jpg
VT250F ('82年)

水冷4stDOHC4バルブV型2気筒248ccエンジン

パワー面では2stに劣るとされていた4stエンジンを、
高回転化によってRZ250と同じ35馬力を発揮。

しかしHONDAにとって高回転化など当たり前の技術でしかなく、
回転数をある程度抑えて低速トルクの確保にも努めたそのエンジン特性は
RZのそれと比較すると非常に扱いやすく、
手軽なスポーツ車として人気を博することとなります。

デザインもHONDA車としてはかなりかっこいいように思います。
特にシートカウルからテールに向けたラインは上々です。
半面、インボードディスク(カバー付きブレーキディスク)と
一見6本スポークに見えるコムスターホイールによって
足回りが排気量不相応に厚ぼったく感じてしまう気も。

なによりHONDAはコイツにターボをつけて市販しようとしたことから、
VTにかけた情熱の加減が伺えます。


それにしてもこのエンジン、出自は紛う事なきスポーツ用エンジンだったんですが、
後にツアラーからアメリカンと色々流用され、
そして現在は数少ない250スポーツとして長々と生き残っています。


vtr.jpg
その生き残っているモデルがコレ VTR

かつては43馬力までパワーを絞り出していたVTエンジンも、
排ガス規制に締め付けられ今やたった30馬力に。

それ以上にVTRがやってしまったのが……


Ducati Monster 900ie 01 2
Ducati Monster900

モンスターのパクリにしか見えないこと。


HONDAの名誉のために書いておくと、
VTRの原型デザイナーとモンスターのデザイナーは同一人物、ミゲール・ガルッツィ氏で、
彼がHONDAにいた頃にこのデザインを残し、
後にDucatiでモンスターを作ったわけです。

残されたデザインをHONDAのデザイナーが手直ししてVTRが生まれたものの、
そんな事情なんて普通は知らないわけで、
各所でモンスターのパクリと言われてます。
ちなみに上記画像のVTRは最近のものですが、
初期のVTRは本当にモンスターです。

実際の所話題に上がっていたモンスターの後を追ってこれを市販したので
尻馬に乗ったのは間違いないような……。


個人的にはHONDAの反骨精神の象徴であるエンジンが
あまりに腑抜けた大人しい車種に流用されすぎていて残念です。

現在の技術でチューニングすれば高回転化で50馬力、
軽量化で重量150kg以下、
車体のコンパクト化でホイールベース1350mm以下の
とても楽しそうなバイクが出来上がりそうな気がします。
まぁ……今のHONDAではまず無理ですが。

とは言え一つのエンジンが30年にわたり小変更程度で生き残り続けてきた。
この事実はHONDAの技術力の裏付けとも言えます。
これからもHONDAには、生き残れる「名機」を作って欲しいものです。

2011/12/21 23:55 | 無縁レベル 2COMMENT(16)TRACKBACK(1)  TOP

コメント

当時の自分の愛車だったRZ250に対抗するために4stのホンダをアピールするため(というか、当時のホンダには250ccクラスの2stエンジンがありませんでしたから)に登場したVT250Fは、鮮烈でしたねぇ
当時は運輸省規制でカウルが許可されておらず、VTのミニカウルをホンダは「メータバイザーで、カウルではない」と説明していましたw
また、400ccクラスですら空冷だったところに投入した水冷エンジンは、オーバーヒートが怖かったのか電動ファンまで装備したクオリティの高さでした

まあ、カタログどおりの35psをたたき出そうとすると、10,000rpm以上をキープするようなテクニックが必要で、直線以外はRZの敵じゃないと思ってましたw
ただ、4~5年後くらいたっても、VT乗ってる人はアクセルワークにも慣れていた人が多く、コーナーの立ち上がりでも速い人がいましたね

また、VTRが出る前にSPADAっていうアルミフレームのモデルがでて、当時ホンダF1チームの所属ドライバーだったアイルトン・セナがイメージキャラクターを勤めてましたね

No:1607 2013/10/12 23:23 | TZR(3XV)再生中 #6AWUBD.o URL [ 編集 ]

返信

>TZR(3XV)再生中さん
「メーターバイザー」といういいわけがまた笑えるというか、若造からすれば信じられないところでしょうw
世界から見たら日本の250は異常だったでしょうねぇ……
初水冷Vツインだの、20000rpm回る4発だの、50馬力オーバーの2stだの。
なんでアイツ等250クラスに躍起になっているのかと。
やはりトルクで劣る4stの宿命ですね……さすがに8500rpmと11000rpmの差じゃ……
っつっても古い2stのフィール考えるとRZも勘弁ですが。
スパーダはカッコイイです。正直後追いモンスターVTRよりはスパーダを継続して欲しかったですね……。

No:1608 2013/10/13 10:53 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

まあ、乗ってみると分かりますが、確かに「メーターバイザー」という感じで空力的にアドバンテージが感触はなく、デザイン優先という代物でしたねw

スパーダのコメントをしようと思って、ググったらVTR1000Fのカウルとサイドラジエターにカスタマイズされた写真を見つけました
たしかに、VTRのようなトラスフレームではなくああいう感じに進化してくれると面白かったですねぇ

No:1609 2013/10/13 23:12 | TZR(3XV)再生中 #6AWUBD.o URL [ 編集 ]

最初のバイク

GPZ250Rに続いて2度目の投稿です。当時、免許とりたての頃に先輩から5.000円で売ってもらった初めての250でした。売ってくれた先輩は発売されたばかりのNSR250R(青テラ)をポンと買って一緒に走りに行きました。VTは、そこそこトルクがあり回せばそこそこ走る「優等生」でしたよ。真っ赤なフレームがとても印象的でしたね。今みてもカッコイイと思います。

No:3317 2015/03/28 05:39 | NC24ロスマンズVFR乗り #- URL [ 編集 ]

返信

>NC24ロスマンズVFR乗りさん
馬力的に不利な4stを使ってRZ250と同じ馬力を出しておきながら
「決してピーキーにはしない」というのがHONDAのすごいところですよね。
またデザインもスカッと切れ味の良い仕上がりで、
仰るように今見ても十分にカッコイイです。

No:3334 2015/04/01 20:30 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

スタイリッシュスポーツ

いつも拝見させていただいております。最近バイクに目覚めたニワカ中年(30後半は中年なのか!?)です。

やはりここら辺の年代のカウル無しスポーツは非常にイカしてると思いますね。最近のスポーツタイプのネイキッドは、昆虫みたいなデザインか、はたまたスーフォアのようなタンクもテールもボッテリなデザインばかりで「シンプルだけども走りたくなる躍動感」が感じられない気がします...
躍動感ありすぎて少年達が崖に突っ込んでくのもどうかと思いますがw

学生時代はこういうスポーツバイクが周りで走ってましたが勉強ばかりで全く手を出せず...

長くなりましたが、中年に片足突っ込んでからバイクに目覚めた私がこのVTに乗るのは無謀でしょうか?
お金はあっても部品が無いとどうしようも無いですし...
もしよければ400以下でこのVTのようなタンクからテールまで繋がってるような流麗な古いオススメネイキッドがありましたら教えていただけると幸いです。

No:3474 2015/05/14 13:55 | 青春へのリターン(?)ライダー #- URL [ 編集 ]

返信

>青春へのリターン(?)ライダーさん
コメントありがとうございます。
最近のデザインは、ラインの連続性は綺麗ですがエッジが効きすぎてメカメカしさがかなり強いですよね。
私も正直なところ、見ていて疲れることがあります。
昔のような流麗さを残してるというとSR400くらいでしょうか。
あれが変わったらそれこそどうしようもありませんが。
部品に関しては今に至るまでVTエンジンは残っているので、
部品流用可能な範囲を調べてみるのも良いかと思います。
VTみたいな……と言われると個人的にはやはりRZ250/350を思い浮かべますね。
あの流麗さはすごいです。
RZ辺りは予算さえあれば社外で部品がひとしきり揃いそう……。

一方で、現行車種もスタイルに対して折り合いがつくものがあるならば、
乗ってみるのも手だと思います。
現行車は過不足無く走ることを楽しめる優秀なバイクが多いです。
乗ってみると案外惚れ込むことがあるかも知れませんし、
近所にそういうショップがありましたら試乗してみるのも良いかと思います。

No:3482 2015/05/17 18:18 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

初期型VTRはタコメーターも無かったから本当にモンスターにそっくりでさしずめM250といった印象でした。
あまりにそっくりなのでドカティから訴えられるんじゃ...なんて心配に思っていたので今回の記事で納得しました。
そういえば昔カワサキのショップに行った折、メーカーから販売店に送られる新車情報のチラシが壁に貼ってあったので何気なく見たら、なぜかV‐Twinマ〇ナ!?
でも、よくよく見たらエ〇ミネーター250V。

同じメーカーならFZ400RとFZR400、GPZ400RとGPX400Rとかも見分けにくいけど、違うメーカーでここまで似ているのはどうなんでしょうね?


No:3733 2015/08/12 16:44 | PolarStar #- URL [ 編集 ]

ベストセラーバイク

当時高校生でした。良いマシンに直接出会えることができ、本当に良い時代に生まれたと思っています。
打倒RZというコピーが使われ発売されたVTでしたが速さという点では例え馬力が同じでも2ストの優位性は高く、RZを超えることはできませんでした。しかし、燃費や乗りやすさ等、総合評価は高く250ccクラスの年間販売実績は後継の2型も含めて長らくトップセールスを誇っていました。その部分ではRZを超えたと言えるでしょう。個人的には速さがバイクの魅力の大きなファクターと感じていますので当時VTに乗る機会がありましたが乗りやすいが遅い(失礼)という感想で所有欲はありませんでした。このVT発売よりも翌年発売された初期型RG250γが私の中で一番衝撃的なニュースでした。必死でバイトして2年後に中古でしたが所有することができ、その後最終VJ23aまで乗り継ぐガンマ馬鹿になりました。(笑)

No:3736 2015/08/15 15:13 | RGV-tetsu #- URL [ 編集 ]

返信

>PolarStarさん
「デザイナーが同じだから文句は無しで」とは言われますが、
モンスターの成功を受けてあわよくば……と出したようにしか見えんという。
言われてみるとマグナとエリミ、すんごい似てますねww

No:3757 2015/08/17 21:43 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

返信

>RGV-tetsuさん
さすがにYPVSまでつけたRZのトルクは違いますね~。
とはいえ仰るように、売れたようなので間違いなく「できたバイク」だったのでしょうね。
しかし初代のガンマからひとしきり乗ってこられたとは恐るべきバイク来歴よ……!!

No:3759 2015/08/17 21:47 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

>水冷4stDOHC2バルブV型2気筒248ccエンジン
↑4バルブですね。

※こちらはコメント欄に載せなくて結構です。

No:4100 2016/01/11 13:19 | #- URL [ 編集 ]

自分が欲しかったバイクです

このバイクは自分が初めてほしいと思ったバイクです

しかし私は初期型FC、親父は最終型のFHという論争で買ってもらえませんでした(その後紆余曲折ありGB250を買ってもらいました)


因みにVT250FのTURBOの噂話なのですが...

このTURBO仕様は実際市販間近までいったそうです(マフラーにはTURBOのステッカーが光り輝いていたそうです)


しかし・・・試作車が完成し部署のお偉いさんが試乗したところターボラグの後ドッカーンターボで一気に加速しそのままひっくり返ったそうです(汗)

そこに行政圧力もかかりお蔵入りになったそうです。


あくまで噂です(笑)

No:4152 2016/02/04 22:17 | N.H #- URL [ 編集 ]

CB250RSの馬力

は25馬力ですよ。
RS-Zで26馬力になりました。

No:4343 2016/05/18 22:32 | ぼるどる2 #HfMzn2gY URL [ 編集 ]

打倒RZ

打倒RZのVTは、加速では2サイクルのRZに負けていましたが、最高速、ブレーキングでRZを上回っていました。鈴鹿サーキットでサンデーオートバイレースで、RZとVTは互角に戦っていましたよ。コーナーの突っ込みブレーキングでVTが前に出て、立ち上がりでRZが前に出る。直線でVTが追い抜いてと。

No:4706 2017/01/26 23:13 | アオイ #- URL [ 編集 ]

1/2 NR!

はじめまして。愛ある毒舌?にいつも大笑いしながら愛読しています。
1995年に手に入れた初期型VTに今も乗っています。かれこれ22年、わかっているだけで15万km以上。北海道から鹿児島まで、こいつと一緒に旅をしました。お約束のレギュレーターのパンク、メインキーの接触不良など、トラブルもいろいろありましたが、基本的には丈夫なバイクです。16インチのハンドリングも、タイヤが当時より良くなったせいか、それほど気になりません。何より流麗なスタイルが気に入っています。

No:4740 2017/03/18 22:52 | citluvit #mNe/g1i6 URL [ 編集 ]

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2014/01/09 | 空我's Moto Life |

無縁単車 墓地群 その27 VT250F

最近、無縁墓地(←だから短縮するなょ!)にハマっているわけですが、中には「2台も斬られましたぁ…orz」とコメントされる読者さんもw   m9っ(*゚∇゚*)あまい!     ワタシなんてすでに3台ですよ?しかも、よくよく数えてみたら… もう2台あるではないですか。。。バタッ!〓■●   そんな1台、学生時代の借り物バイク、逝ってみようっ! &nbs...

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