その50 CBR750

V4の陰に隠れたCBR唯一のナナハン



CBR750



無縁レベル:3




CBというとバイク乗りだったら誰でも知っているだろうHONDAのブランドです。


かつて世界を席巻したCB
CBに対して他社がやらない付加価値を加えたCBX
そしてCBXからバイクとしての普遍的性能を突き詰めたCBR


扱いやすい水冷の4気筒エンジンと運動性能観点の真摯な車体設計は登場から30年弱、
多くの人に愛され今なおその名でラインナップを続けています。
(ちなみにCBRでも数台空冷エンジンがあります)



さて、80年代後半から90年代頭、国内のナナハン規制が解除されるまで、
750ccクラスのレプリカ(今で言うSS)はある意味花形でした。
GSX-R750を筆頭に、耐久レースやWSB等で活躍するマシンの技術が
ほとんど直接的にフィードバックされレプリカの完成度が上がっていました。
セールス的にも重要な立ち位置だったナナハンレプリカに
HONDAもCBR----ではなくVFR参入しています。


そう、HONDAのナナハンレプリカと言えばVFR750R(RC30)なのです。


よって一般的(?)にはCBRにナナハンなんて無かったことになっています。






いやいやいやありましたよ?


ちゃーんとあるんです。CBRのナナハン。一つだけあるんです。






cbr750 01
CBR750('87)


現在ラインナップする大型CBR群の元祖とも言えるバイク。
1000ccとの兼ね合いでCBR750Fと呼ばれたりスーパーエアロと呼ばれたりする、
フルカウルではなくフルカバード(カウルの隙間をなるべく埋めた)ボディを持つバイクです。

ちなみに同時期に発売された1000ccはこちら。

Honda CBR1000F 87 5

意匠はほぼ変わりません。
後に登場するブラックバードの前身となる海外向けのCBR1000F、
それに対する国内のナナハン規制にあわせて作られたのがCBR750となります。


諸元はだいたい次の通り。

水冷4st4バルブ並列4気筒748ccエンジン
最高出力77馬力/9500rpm
最大トルク7.0kgm/6500rpm
乾燥重量199kg(装備重量224kg)
車軸距離1480mm



馬力規制があるのでエンジン云々はさておき、
199kgとレプリカに比べると車重はあまり軽くはありません
同時にあえて記載しましたが車軸距離:ホイールベースもさほど短くないです。

カテゴリは一応当時で言うところのレプリカに分類されますが、
兄貴分であるCBR1000Fの設計思想として
「ハイスピードのロングクルージングに対応できるバイク」
というのがあり、CBR750もこの思想の元に作られております。

カウルを装備しているので当時はレプリカと一緒くたにされていましたが、
現在風に言うなればコイツはメガスポーツ系にあたります。

HONDAもCBR750RRという構想は持っていたようですが、
ナナハンレプリカという熱い市場で他社と同じく並列4気筒エンジンを送り込んでも
ライダーの眼を引くセールスポイントがありません。
セールスポイントという意味でもレース結果的でも、
V型4気筒エンジンのVFRを推していった方が良かろうと判断されたのでしょう。
SSとしてのレプリカという立ち位置は先に書いた通りRC30が持っていき、
共にスーパースポーツバイクなどと銘打たれながら
CBRはSSとは違う比較的ジェントルなフルカウルスポーツとして
VFRと住み分けていくことになります。

まぁこの住み分けが母屋と離れくらいのものならよかったんですが、
結果として母屋と納屋くらいの住み分けになってしまったのが可哀想なトコです。

可哀想なのでこうなるはずだったCBRも貼っておきましょう。


Honda CBR750RR Prototype
CBR750RR(Prototype:'90)


かっこいいね!
市販はなかったけど!!




さてさて、今回のCBR750の写真は自前なんですが、
驚くことに父がコレに乗っていたため私も乗る機会を得ることができました。
えぇいなんで俺の周りにはこんなにも珍車がァッ!!?!

てなわけでバイクの絶対基準がカタナ400という間違った人間によるCBR750レビュー。



まず最初にコイツ曲がりません
普通のナリをしていてカタナより曲がらないバイクなんて初めてだったのでビックリしました。
正しく言うなら曲がらないというより寝ないです。
ホイールベースが効いているのが、はたまた車重が重いからか。
しかしホイールベースで言えば帰省前に乗せてもらったCB750の方が長く
重量で言ってもやはりCB750の方が重いのですが
CBRの方が倒しづらいという謎結果。
重心の問題か?とも思ったんですが、
スチール製とは言え近代SSの一般フレームであるツインスパーダイヤモンドフレームを採用し、
エンジンも前傾エンジンで低重心化を詰めて設計されていることから
重心問題でもなさそうです。

倒しづらいというだけで一度倒してしまえば軽快に曲がります。
言ってみれば姿勢保持能力が異様に高いのでしょう。
……あぁなるほど。確かにコイツはメガスポとかツアラー系の性格ですね。
剛性の問題か?

倒しづらい故に街乗りがしんどいかというとそんなことはないです。
セパハンながらトップブリッジ上にマウントされたアップ気味のハンドルで、
切れ角も多いのでハンドルをクルクルと回して曲がる分には困りません。
駐車場なんかカタナより遙かに楽です。まぁ多少重いですがBMWのツアラーに比べりゃ……



次にタイヤが細い。

普段周囲にタイヤは細くても問題ない!と吹聴している私ですが、
心から太いタイヤに換えたいと思ったのは初めてです。

というのはCBRのリアタイヤ、140/70-18というカタナと同じ太さなんです。
最初見たときもこのスタイルで140!?と驚いたんですが、
乗ってみて140はさすがに無理だと確信しました。

CB750のような低速から力のある落ち着いたエンジンであればこの太さで十分だと思います。
CBもリアの太さは150ですが、それで不足だとは感じませんでした。
でもCBR750のエンジン、レッドゾーン12000rpmなんです。
全力の高回転型4気筒です。

街乗りするなら3000rpmもあればいいんですが、
そんな走り方をしてると「もっと高回転を使え!」と要求してきます。
車体はツアラーのクセに中身はレプリカです。

で、要求通り回すとカムギアトレインの気持ちいいサウンドと共に
回転数とスピードが上がっていきます。
さすがに2stレプリカほど凶暴なパワーの変化はありませんが、
一般には十分フラットだろうこの微妙な加速曲線の変化にすら
容易にタイヤが敗北します。

要約するとカーブでラフに扱ったら普通に滑った。
大して寝かせてもいないのに滑るとは思わなんだ……。

フロントフォークが正立のΦ39という今の250レベルだったり
ダブルディスクだというのに止まらないブレーキだったり
そういう部分は年代との兼ね合いがあるのでしょうがないんですが、
当時でも幅170程度の扁平ラジアルタイヤはあったので
せめてそれ履いて欲しかったですね。


あと最後に熱はどうにかして欲しい。

フルカバードボディだから熱は上がってこないと思いきや、
夏場は中に籠もったエンジン熱がしっかりとカウルを内側から温めて
ニーグリップする気を無くさせます。
まぁネイキッドのCB750すら熱酷かったしこんなもんか……。




実家に帰省してアシとして活躍してくれたCBR750。

私の中では無為にHONDAは優等生で乗りやすいという固定観念があり、
自分で買うならHONDAは無い(実用車除く)と思っていました。

ところが今回CBR750を乗って思いました。

HONDAにもこんなに怖いクソバイクがあるのか、と。
※クソバイクは褒め言葉です


度々書きますが私にとっては乗りやすいだけのバイクはおもしろみがありません。
端から見れば単に面倒なだけですが、
乗りやすいバイクを飽きたと次々乗り換えてろくすっぽバイクと向き合わないよりも、
乗りづらかろうが色々な面からバイクを見て徐々に乗れるようになる。
そんな些細なストーリー性を感じるバイクこそが
やはり私にとってネタとして愛すべきバイクとなります。



2週間に満たない期間では満足に乗りこなせませんでしたが、
唯一のナナハンCBRはそんなストーリー性のあるバイクでした。

2012/08/22 19:38 | 無縁レベル 3COMMENT(11)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

No title

>>てなわけでバイクの絶対基準がカタナ400という間違った人間によるCBR750レビュー。

ニュートラルが入れにくいとかフロントの接地感が薄いとか入れる当時のスズキ車ですが、
刀400は刀シリーズの中でも一つの完成形かと思いますよ。
余裕があるなら今でも欲しいバイクですw

ホンダは優等生と言われがちですがたまにぶっ飛んだバイクを出しますよねw
スズキほどではありませんがw

No:941 2012/08/23 01:15 | Imp #/.OuxNPQ URL [ 編集 ]

No title

カワサキ党の自分ですが、スペックもデザインもなんかZZR600に近いものがありますね。

軸間距離はCBR750のほうが若干長いが、乾燥重量199㎏は同一。左右2本出しのマフラーの高さと角度。シート、グラブバーの形状は激似。
違いはウィンカーだけかな?

なぜかこの手のスポーツツアラー系のバイクはZZR以外売れていませんが…。RF然り。

出てくる時代が早すぎましたね。僅か数年ですが。
そうでなければ、レプリカ扱いでなくてスポーツツアラー扱いでもうちょっと売れただろうに。

No:943 2012/08/24 23:19 | ZZR600E10 #- URL [ 編集 ]

3台目です

3台乗りついで現役で乗っています。1台目と2台目はFJで今の3台目はFHの紺白のロズマンズ?カラーです。1台目は自分でリミッター解除(メーター裏のセンサードグ円盤を追加工)し、メーターを振り切っていました。3台目は2年前にオークションで見つけて大阪の車を購入。予備車検付でしたがガタガタの状態。キャブのオーバーフロー、負圧コック動作不良のガソリン漏れ、フロントフォークの底つき等等。執念で直して先月は妙高までロングツーリングまで出来るぐらいになりました。走っているバイクを滅多に見ないというか見たことがありません。でもツーリングでPA、SAで止まると注目を浴びています。25年前のバイクですが、まだまだ現役、同じバイクを乗っている人で情報交換できればと思っています。さすがに消耗部品の欠品がたくさん有り困っています。キャブとセルモーターは手に入れています。

No:978 2012/09/30 19:51 | 相馬のかげさん #- URL [ 編集 ]

Re: 3台目です

>Impさん
毎度コメントありがとうございます。
確かに400カタナはカタナの中では完成度が最も高いとされます。
まぁその…………カタナの中ってのが何か間違ってるワケですがw
いじる余地が色々あるのも面白い部分ではあります。

HONDAは多分狙ってブッ飛んだの作るんでしょうが、
SUZUKIはまじめに作って飛んでるのが恐ろしいです。


>ZZR600E10さん
仰る通り、ZZR RFと似た構成ですね。登場は随分とCBRが早いですが……。
ほぼ同時期に生まれたCBR600Fなんかは現在でも残ってますが、
ツアラー側に振るなら少しでもトルクのある750を残した方が良かった気がします。
ホント出てくる時代が早かったです……
しかしHONDAだからこそ「ナナハン」に拘って復活させてくれてもいいバイクだと感じます。


>相馬のかげさん さん
コメントありがとうございます。
3台乗り継いで--なんて方からコメントをいただけるとは恐縮です。
やっぱり180km/hでリミッター付いてるんですねぇ……何km/hでるんだろ。
私も父所有の物以外現車を見たこと無いですね。
実家の物は復活させる際にリアサスがへたっていたため装着されていたサスをOHに出した模様。
残念ながら私自身が所有しているわけではないため、部品情報等には明るくありません……。

No:979 2012/09/30 22:25 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

初めてコメントします。
以前、3年ほど乗っていましたが、仕事の都合で手放してしまいました。 
車歴は、RG50E=>RA125=>TT225=>WOLF200=>GPZ900R=>CBR750  です。
GPZ900Rの調子が悪かっただけに、CBR750が素直で、軽くて、走り易い、高速道路600Km/日走っても安心なバイクでした。 出来ればもう一度手に入れて、乗り続けたいバイクです。
WOLF200も、宜しくお願いしますね!!!!

No:1769 2013/12/29 18:33 | サウス #NSULs8mg URL [ 編集 ]

返信

>サウスさん
コメントありがとうございます!
なんという車歴……RGやらRAやら羨ましいですw
GPZに比べれば確かに軽いですね。
エンジンもそこそこ素直で、されど元気が良く。
色々と良くできたバイクなんですが……いやー怖かったですw 倒れないww
Wolfは250か200かで悩んでいましたが……こりゃ200コースですかねw

No:1770 2013/12/29 20:17 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

レスありがとうございます。
車歴に、もれがありました。
RA125/NS400R => RA125/TT225 => WOLF200/TT225 => GPZ900R/TT225 => CBR750/TT225と2台所有が続き、NS400Rの存在がもれてました。NSは6年ほど乗ってたのですが、2速が走行中に死んで、60Km/hから、強制リアロックでした。
エンジン+ミッションオーバーホール+車検だったので泣く泣く手放して、TT225とWOLF200の2台持ちにしました。 VFRのフレームにNS400のエンジンを載せたバイク、ホンダ出さないかなぁ?
または、スズキRG”V”500γですね。

No:1772 2013/12/30 01:04 | サウス #NSULs8mg URL [ 編集 ]

返信

>サウスさん
NSまで!ますます羨ましいですが……リアロックでよくぞご無事に。
RS125に跨って、正統進化した国産2stエンジンが近代のツインスパーに載ったら
どれだけ面白いことだろうか、とも思いました。
売れなきゃバイクが作れないし、
それ以前に規制規制でロクにスポーツが作れない。
それをクリアするのが技術の進歩なのでしょうが、世知辛いと思ってしまいます。

No:1773 2013/12/31 00:30 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

今更コメですが

「ハリケーン」ことCBR750の最高速度ですが、ブックオフで見つけた1988年の国内新車レビュー的なムックを見つけて買ってきました。
矢田部で最高速トライアルテストしたその結果ですが、ハリケーンは唯一の250キロオーバー…。
最高速「だけなら」当時のGSX-R750(油、前の前に僕が乗っていた型です)、FZR750、GPX750R(当時ラインナップ、さすがはカワサキですね)が230キロ代後半から240キロ台中盤のところ、ブッちぎりでした…。
本当、さすがは愛すべきクソバイク、ハリケーンとしか言いようがありません…。

No:2857 2014/11/16 00:51 | ブラバックマ #- URL [ 編集 ]

返信

>ブラバックマさん
さすがCBR1000Fの国内版というべきでしょうか。恐ろしいバイクですね……

No:2871 2014/11/17 21:21 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

okok

いいバイクですよ。代車でよく乗り回しました。なかなか軽く吹きますよね。問題なく楽チンないいバイク。今のSSや津アラーと比べると、自転車ですが、いいバイク。懐かしい。いまはその兄貴分の1000Fに乗ってますが、これは、どうしようもない。危ないバイクですね。

No:4211 2016/03/15 12:48 | harrybkk #- URL [ 編集 ]

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