その80 Diversion

風、旅、美。そして不人気。



Diversion



無縁レベル:3








Yamaha XJ6 diversion 10
XJ6 Diversion ('09)


FZ6のエンジンを低中速寄りにセッティングして扱いやすくした、
オーソドックスながらも飽きが来ない等身大の中間排気量です。

そもそもこのクラスは欧州では足バイクとして重宝されておりじゃなくてね。



えぇわかっていますとも。
Diversionというタイトルを見て
きっと多くの方がニヤリとしたことでしょう。
わかってますって
ここでDiversionって言ったら現行のコイツじゃあないですよね。


















Yamaha XJ400S Diversion 91
Diversion ('91)

当然コッチですよね、はい。



~Diversion~
1 (進路・目的・用途などから)わきへそらす[それる]こと,転換
a ~ of traffic from one port to another| 別の港へ貨物輸送の転換をすること.
2 ((正式))関心をそらすもの;気晴らし,娯楽(→recreation)∥
create a ~| 気をそらさせる.
3 ((主に英))(幹線道路閉鎖による)車の迂(う)回路,回り道(((米))detour).
4 〔軍〕牽制(けんせい),陽動(作戦).



ディバージョンが登場した'91年。
ゼファーの登場によってレプリカ押しだった市場が揺れており、
それでも各社まだまだオールドルックネイキッドにハッキリ踏み切っていなかった頃です。

ある意味ではレプリカブームからの転換とも言えるこの頃、
風、旅、美をコンセプトとして生み出されたのがディバージョンです。

せっかく手元に当時ものの資料があるのでちょっとコンセプト解説を引用してみましょうか。



風…フレームマウントのエアロカウルは、ある速度までは風がまとわりつき、ある速度からは風をカットする可変的な性格をもっており、心地よい風とプロテクション効果を高次元でバランス。
旅…あらゆる面から人間工学に基づいて設計されたライディングポジションとタンデムライド時の快適性も考慮したシート。さらに、快適な乗り心地と優れた直進性を与えられた足腰。
美…冷却効率的にも優れるという3次曲面を多く採りいれた美しい仕上がりのエンジン形状と、エアロカウルからテールエンドにかけて空気の流れを強調したボディデザインなど、惜しみない最新技術の投入によるコンセプトに基づく徹底した作り込みがなされている。




なんかよくわかりませんが結構すごそうです。
スペックを見てみましょう。



空冷4stDOHC2バルブ並列4気筒398cc
最大出力 42馬力 / 10000rpm
最大トルク 3.5kgm / 7000rpm
乾燥重量 178kg




この時代の4気筒の割に恐ろしく非力
しかもあまり軽くない。

ゼファーも馬力はありませんでしたがゼファーより非力とは……。
で、なぜこんなスペックになったのでしょうか。

注目してもらいたいのは
最大出力の回転数と最大トルクの回転数の差が3000rpmもあることです。

小排気量で馬力を稼ごうとすると最大トルクが発揮される回転数を
なるべく高回転に設定しなければなりません。
結果として最大出力回転数と最大トルク回転数の差が少なくなります。

反対に、この差を大きくするほどに馬力が伸びづらい傾向にあります。
馬力が伸びない代わりになにが得られるのか?
いわゆるフラットなパワーというヤツ、扱いやすさです。

ディバージョンは小排気量ながら扱いやすさのために馬力を抑えてあるのです。


適度に風を感じ、風を防ぐカウル。
馬力を抑えフレンドリーな特性で扱えるエンジン。
ライダーへの負担とならない楽なポジション。
普遍的ながら飽きの来ないスタイル。
まさに気晴らしに気軽に乗ることができるバイク


あぁなんと良くできたバイクか。



でも売れないんですよね。


正直言うとディバージョンはかなり大人向けのバイクだと思います。
理論的な言い方ではありませんが、
ディバージョンの在り方はあくまでツールであってマシンではないのです。

もっさり吹けない4気筒を許容することができ、
絶対的なパワー不足を割り切ることができ、
ゼファーのようなノスタルジーさえ無くてもよい
快適に流すことは出来るが刺激があるとは言えない。


そんなバイクを買うかって言われるとそりゃ買いません。
しかも当時は刺激的なバイクなんていくらでもあったんですから……。

さらに'96年に教習所で限定解除(大型自動二輪免許)が可能になるまで
大型の免許というのは高嶺の花だったわけで、
中免というトルクの限られた狭い選択肢しか与えられないライダー達が
強烈なパワーだったり、
ノスタルジーだったり、
トランクスペースのユーティリティーだったり、
美容師役のキムタクだったり、
わかりやすいキャラクターを持つバイクを選ぶのは当たり前の流れです。



しかし一方で、同時に欧州にて展開されていたディバージョンの600、900は
共に欧州市場で一定の支持を受け、10年以上販売されていました。


上位車種が中間排気量で海外市場で足バイクとして一定の評価を得ている--と言えば。






110427.jpg
この人とか





20110516.jpg
多少趣は異なりますがこの人がそうですね。




やはり海外で足バイクとして使えそうなコンセプトを
国内にそのままスケールダウンして持ってきてもヒットは難しいようです。




…………とはいえ、250ccのスポーツバイクの非力が許容され、
Ninjaを冠する400ccが40馬力そこそこしかない現在。
それこそこのディバージョンが再登場するには良い状況なのではないかと思います。

環境規制対応だの色々面倒ごとはありますが、
スポーツバイクが無いYAMAHAのラインナップに加えるには丁度良いなどとほざいてみます。








2013/04/25 16:19 | 無縁レベル 3COMMENT(14)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

90年初頭のバイクは一番懐かし感がしますな。
これとかZEALとか。
出た瞬間に売れんだろうとは思いました。
実際数台しか見たことないです。
でも嫌いではないです、なぜか親近感を覚える。
何故なら丁度そのころRZVの大食いに音をあげてFJ1200A購入してました。2バルブと4バルブの差はあれど同じ空冷でFJもツアラーという、旅の道具バイクでした。

それと900ccは今いるインドネシアで白バイに採用されてよく見ます。FJクサさがプンプンでつい眺めてしまいます。
GSも500ccが白バイとして採用されてましたね。

若い時はこういう道具バイクの良さがわかんないでしょうが、刺激の無いバイクは旅の手段として使うには実にいいもんです。
というわけで三枚目写真の現代版、三兄弟のアルプスローダータイプがこちらでも発売されてまして、とても欲しい今日この頃です。

No:1213 2013/04/26 21:51 | おてつ #GclqcKss URL [ 編集 ]

今回はディバージョンと来ましたか!?
私、代車として真夏に2週間乗ったことありますw

◎…程良い防風。120km/hぐらいまでは伏せなくてOK。
○…GENESIS思想の前傾エンジンの恩恵か、足下が熱くない。
△…100km/h程度の定速クルージングでは微妙に低いハンドル。
△…出足が遅い。加速が鈍い。高回転域使ってると熱だれする。
×…GENESISは大雨でプラグが失火する欠点がある。
×…ツーリングで常用する3800rpm付近でエンジンが暴れる。

輸出仕様の600版なら、高回転使わないし、扱いやすいんだろうな、という感じ。

でも、田舎を下道ツーリングするには、本当にいい感じでしたよ。

No:1214 2013/04/27 15:29 | 丙午 #- URL [ 編集 ]

ああ、懐かしい・・・コイツも旅から旅に暮らしていた頃、何人かの愛用者に遭いました。
女子とナイスミドルにウケていて、おおむね好評でしたね。
自分も割と好きなんですが、何かこう、
勘違いしたようなブリティッシュテイストな深緑とかあった様に記憶してます(笑

>GENESISは大雨でプラグが失火する欠点がある。
あらら・・・プラグキャップに水が、って奴ですかね。
70年代のマシンでもあるまいに(苦笑

イイ感じに流していると、大きなフィンが共振して独特の音を奏でるとか聞いたような気もします。
何処まで行っても楽器屋さんなんですねぇ・・・

>それこそこのディバージョンが再登場するには良い状況なのではないかと思います。
イイですねぇ。
じゃあ同じヤマハつながりで初音ミクVer.で(をぃ

No:1215 2013/04/29 02:43 | rasukaru #F8Bk1E3. URL [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>おてつさん
単気筒やらが流行りだした辺りからラインナップに華が無くなった気がします。
レプリカブームを経験された方達ですとやはりその最後の華に感慨深いものがあるのではないかと思います。
やっぱり売れなそうな雰囲気はあったのですねぇー……。
GSの白バイ……ゴクリ
ツーリング手段としてはそうなんですが、それを飽きない大人な性格かどうかがキモなのかなぁと感じます。
イマドキの若い人はビグスクで満足する人も多いでしょうし、
あんだけ刺激が薄いニンジャ250が売れてるのを見ると大人な若者が増えているのではないかとw

>丙午さん
これが代車とは……なんてショップだ!!
本当に600だったら丁度いいのだろうと思います。
400じゃトルクが足らなすぎる…………。
やっぱり今向けのバイクな気がしますねぇ。

>rasukaruさん
深緑ありますよww
確かに落ち着いたスタイルなので、女性受けしやすいのかも知れません。
緑つながりでライトグリーンとライトブルーの中間色でミクカラーですか……。
なんか売れそうで怖い。

No:1217 2013/05/02 11:13 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

>>Diversion ('91)
>>当然コッチですよね、はい。

はいw
こちらを想像してページを開きましたw

今だからこそ、いいバイクだと思えるんですが、
当時はなんて中途半端な魅力の無いバイクだと
感じてました。

今と当時はバイクに対して何を求めるのかが
大きく異なっているのでしょうね。

No:1219 2013/05/02 23:24 | Imp #/.OuxNPQ URL [ 編集 ]

初めまして、いつも楽しく閲覧させてもらっています。
ディバージョン400は私の初めての単車で、学生時代に毎日乗っていました。
中古で購入した当初から不具合が多く、色々と勉強させられ苦労させられました。


先の方が仰られているように、風防の効果は高く走っていて疲れないポジション。車体も大柄でゆったり乗れたため、180センチの私でも満足出来るものでした。

前述の不具合についてです。
購入後不調(カブリ)が続き1ヶ月でエンジンがかからなくなる。
購入店にてキャブのOh。
エンジンがかかるようになったものの、不調が続く。
不信に思い他の店でキャブのOh。メイン・スロー共に錆び有り。オーリングペチャンコ。

何てことがありました。
現在は他の単車に乗っています。
またいつか乗ってみたいものです。

乱文失礼しました。

No:1224 2013/05/04 22:50 | ○ #Kd.7ux32 URL [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>Impさん
お久しぶりです。
若いウチは無理無茶やってナンボみたいな部分があるので
わかりやすいキャラクターを持ったバイクに惹かれますが
経験を重ねると便利さにも目が向き始めるのだと思います。
しかしやはり400でこのコンセプトはキツイんじゃないかなーと感じますねw

>○さん
コメントありがとうございます。
初単車がこれとは……なかなか絶妙なチョイスをなさる。
180cmのガタイで小さくないってのはありがたいですね。
しかしショップの当たりが悪かったとは……信頼できる店選びって大変ですねぇ。

No:1229 2013/05/09 20:22 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

一時期愛車としていたDiversion、いいバイクでした。
ゆったり走る時の安定感は抜群でしたが、遅い。カウルが小さいから、高速では「ビキニカウルと変わらんわ」と泣いていました。エンジンのあちこちのシール部分からにじむオイルも懐かしい思い出です。
あれの600バージョンが欲しかったなあ。

No:1291 2013/06/03 22:24 | 今はスカブ #- URL [ 編集 ]

返信

>今はスカブさん

コメントありがとうございます。
本当にゆったり向けなんでしょうが……さすがに400でゆったり向けを作ってしまうと、
どうしてもパワーが足りない場面が出てしまうのでしょうね……
案外オイル漏れは多いみたいでちょっとビックリです。
やはり5~600クラスが一番丁度いい排気量なんじゃ……

No:1293 2013/06/04 17:47 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

読者発見

中古車屋で格安のきれいなディバージョンを発見
店主曰く、「激しく勧めない」w
K社の販売店で下取り拒否されたものとのこと
このブログの毒者のようでしたよ^^

No:3591 2015/07/03 13:29 | skier #jCrWR5qg URL [ 編集 ]

返信

>skierさん
なんと……バイク屋さえ勧めないとは……
毒者たァ言い得て妙な単語を使うじゃあありませんかwww
いや、生活の範囲でも稀に読者さんが混じっていて戦々恐々です。

No:3611 2015/07/04 10:08 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

20年近く前、幕張免許センター中型一発試験のとき、コイツには泣かされました。低速トルクがなく何回も試験に落ちた記憶が甦ります(私が下手なだけ)。

No:3908 2015/10/15 15:44 | ej1031kai #- URL [ 編集 ]

ウインドツアラー

VX、フェーザーに続きコメントさせてください。ほんとにここはいいところですね、バイク界の隙間にひっそりと消えていった我が愛車たちに陽をあててくださる(笑)
バイク屋のバイトが値段まちがえたこいつは格安で5代目の愛車として私のところへ来ました。北海道から屋久島までいろんなところへ行きました。ちょっと調子悪くて、ひっぱると片方のマフラーだけディーゼルになってましたが。美しいですね今見ても
出るのが早すぎましたね。

No:4419 2016/06/09 09:19 | ハズ #- URL [ 編集 ]

はじめまして、懐かしいものを見たので書き込ませていただきます
免許を取って初めての愛車でした、正直重く遅く取り回しが悪い印象しかなく1年経たずにDT125に買い換えましたがその後600に乗った時こんなに違うのかというぐらいに楽しかったです。400ももう少しトルクがあれば売れたんじゃないか?いや、日本向けのデザインと違うし無理かな

No:4549 2016/10/03 18:44 | #X.Av9vec URL [ 編集 ]

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