その96 CBR400F

最強の空冷



CBR400F




無縁レベル:2






'75年の免許制度改正。


'75年以前には今で言う「大型自動二輪免許」なんて区分はなく、
しかも'72年以前は125ccの教習車で免許を取り
大型バイクに乗れてしまうという凄まじい状況でした。
(一応'72年以降は400cc)


そんで大型持てあまして事故るわ暴走族増えるわ
うるさいヤツはサクッと規制してしまう我が国の行政は免許制度を改正します。

400cc未満を「中型限定」二輪免許として、
教習所で取得できるのは限定のみにしてしまったのです。

というわけで'75年以降は大型バイクに乗りたければ
試験場行って乗ったこともない大型バイクに跨って
クッソ厳しい採点制を相手取って限定解除するしかなかったのです。


この限定解除が司法試験やら東大受かるより難しいだのと言われたほどで、
大型バイクが一気に高嶺の花と化してしまいます。

バイクブームの中で免許制度がそんな状況であれば必然的に--
車検がない最大排気量の250ccクラス
中免で乗れる最大排気量の400ccクラス

この2つのクラスがヒートアップします。



話は逸れますが、暴走族もとい珍走団対策でもあったこの免許制度改正、
実際のところあんまり効果がなかったように感じるのは気のせいでしょうか?
流れを見てみるとその後メーカーが図体のデカイ4気筒400クラスを出したり、
そもそも連中は無免で乗ることをなんとも思わないわけ
規制の煽りは一般ライダーが喰らって終わりな気がします。

--いやそもそもこれはどの業界にも言えますね。
珍走まがいのイカ釣りビグスクのせいで
ビグスクがバカスクなんて呼ばれるのも似たようなものですし。

このような正道を語るようなことを私が書いてどうするのかという話です。
私が書くべきなのはもっと逸脱した話です。




ヒートアップした2つのクラスのうち400ccクラスの方。
悲劇の4気筒機がいたもののあまりパッとせず。
その後400クラスで4気筒がスタンダードと化すキッカケを作ったのはやはりKAWASAKIでした。


Kawasaki Z400FX 78

DOHCという心躍るメカニズムでその上4気筒!
その車格は400の域に留まらずワンクラス上のサイズ
なにより大排気量Zライクなスタイリング
もちろんKAWASAKIなので車重もワンクラス上乾燥189kg!重い!!

っていうかKAWASAKI臭くてしかたねぇ!

上位排気量を喰ってしまうザッパーの小粋さはドコへやら、
いつの時代もブレイクするのは立派に見せんとする見栄なのか、
それでもFXのヒットは他メーカーを追従させるに十分なものでした。




Honda CBX400F 81 1
後追いするHONDAさんが切ったカードは今なお珍走大人気の盗難率No.1
CBX400Fです。

今見ると均整の取れたセクシーなスタイルだと思います。
オールドルックスタートなのに時代を追っかけ尻ばかり上げたデザインの400SFより格段に。
空冷DOHC4気筒機の中では最後発だっただけあって当時最強の48馬力をマーク。



しかしHONDAはここに慢心しません。
CBXの2年後に10馬力アップした空冷最強機をリリースします。




Honda CBR400F 83 2
CBR400F('83)


空冷4気筒の最強機にして
最初に現れたCBR
(CB-Rは除く)


最先端スポーツの証たる六芒星型コムスターホイール
切れ味の鋭いハンドリングを生むフロント16インチ
左右に張り出し剛性を確保した角パイプフレーム
カウルレスながらそれだけでレーシーさを強調するアンダーカウル


純正オイルクーラーで冷却強化されたエンジンは
12300rpmという高回転で58馬力を叩き出します。

乾燥重量は176kgとCBXより若干増えましたが、
10馬力増にフレーム強化などで若干増に抑えた手腕は流石です。



なによりこのマシンが特徴的だったのは、
高回転域での馬力を求めるのみならず
低速域を確保するための可変バルブ機構を搭載していたことでしょう。

大量吸気・排気を行う高回転域では4バルブとして駆動、
吸排気系を絞り気味の方が有利な低回転域では2バルブとして駆動、
それらの切替を自動で行う機構「REV」がこのCBRには搭載されていました。

このマシンはサーキット性能のみを追いかけるのではなく、
日常の扱いやすさすら考慮されて生み出された最強マシンだったのです。


ここがまさにHONDAらしいと感じる部分です。

このメーカーはサーキットで速いマシンを作るのは当たり前なのです。
重要なのはあくまで公道市販車としての性能。
バイクとしての普遍性を失わないこと。


私がHONDAと相容れないと考えつつ、認めざるを得ない部分です。


REVは現在名称を変え、現行CBにHyper Vtec Revoとして搭載されています。

大げさな名前になっていますが制御判定項目が増えて回転域が多少変わっただけで、
やってることはあくまで2バルブと4バルブの切替です。


翌年GSX-Rの登場によって最強機の座を譲り、
そのまま馬力規制の時代へと突入したために最強というジャンルは消滅しました。

しかし空冷のまま強烈なパワーを発揮したのはやはりコイツくらいのモンです。





Honda CBR 400F Endurance 1
CBR400F Endurance('84)


GSX-Rやガンマを受けてカウルレプリカの流れに乗っかった
CBR-Fバリエーション「エンデュランス」
耐久レーサーっぽい装いを強調していますがあくまでイメージレプリカと言ったところでしょうか。
CBR-Fにカウルを被せただけなので重量増が惜しいところです。



Honda CBR 400R 85 endurance f3 84
CBR400F Endurance F3('84)

エンデュランスの特別仕様車。
その乾燥重量200kg。

本末転倒です。

HONDAさん商業主義に走りすぎです。






そして'85年に他社の水冷機を追うのではなくマイナーチェンジ


Honda CBR400F 83 1

アンダーカウルを取っ払い
純正でステンレスの集合管を装備
アルミ製スウィングアームで軽量化
コムスターホイールではなく3本スポークのキャストホイール


前期型のアンダーカウルで締めた装いも大変好きなのですが、
後期型の小粋に決まったステンレス集合管もかっこいいです。



しかしこのまま旧時代的な空冷機の継続はまずいと思ったのか、
翌'86年には水冷エンジンを搭載したCBR400Rにバトンを渡します。







Honda CBR 400R 86
泣きたくなるくらいカッコ悪くなりましたが。









執念のように空冷であることを追い求めた最初のCBR

ひょっとしたら合理的ではなかったのかも知れません。

それでもそれを追い求めた技術者のプライド


そんな熱さが感じられるマシンのお話でした。






Vtec解説とかテレレバーとか載ってます。



2013/08/31 20:41 | 無縁レベル 2COMMENT(9)TRACKBACK(1)  TOP

コメント

どうもこんばんはです。

高校生のとき友達が二人ほど乗ってましたが、一台は族車でもう一台はほぼノーマルでした。

ほぼノーマルの方は一度だけ乗らせてもらいましたが、セパハンがオニシボリな為に切れ角が狭い上親指がタンクに挟まるという愉快使用。

地元ではコイツは族車使用しか見ない部類ですが、個人的には割と嫌いじゃないバイクだったので残念です。


No:1512 2013/08/31 22:50 | KNZW #qBVoaApM URL [ 編集 ]

このライトステーに時代を感じますねぇ…
道交法の改悪や意味の無い規制は日本の十八番ですからね。ホント自動車イジメが好きな国ですよ。
ホンダが可変バルタイの先駆者と思ってる人が結構多いんですけど、実はその原型となるバルブ休止エンジン含めて、日本で一番先に市販化したのは三菱なんですよね、ちょっとした豆知識。

No:1513 2013/08/31 23:20 | ひぃや #- URL [ 編集 ]

懐かしい・・・、自分の高校にも一台いましたよ。
通信制の高校だったので、戦時中に進学出来なかったじい様ばあ様や、
ヤンキーヤクザにお水に・・・あとカタギがナンボか(笑。

そんな学校だったから実にカオスな駐車場だったんですが、
こいつは何故かカタギ仕様でした。
今にして思えば一緒に良く見たFX400Rなんかもカタギ仕様で、
勉強するぐらいだからヤンキーもヤクザも真面目なヤツだった(笑。

学年が違い接点が無かったんですが、たまに一緒の登下校時間に出会うと、
バルブが切り替わるときの音の違いが面白かったですね。
今のスーパーフォアとかは殆ど判りませんが、きっと乗ってもハッキリ違うんでしょう。
東京タワー同様、縁があれば乗り回してみたいマシンです。

No:1515 2013/09/01 00:54 | rasukaru #P1bpp.Ak URL [ 編集 ]

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No:1516 2013/09/01 22:12 | # [ 編集 ]

返信

>KNZWさん
写真見た目には気付きませんでした、絞りハンなんですね……
本当に族車扱いされるのがもったいないくらいカッコイイんですが、
なんとかならないものかと思います……。

>ひぃやさん
このライトステーの独特な雰囲気はなんとも言えませんw
悪く言うと手抜き……に見えるのは私だけでしょうか?
4輪2輪どちらでもVtecが知られましたから可変バルブというとHONDAのイメージですね。
三菱はシリンダー休止だのミスファイヤリングだの色々あって、
やっぱ恐ろしいメーカーだと感じさせられます。

>rasukaruさん
FX400Rと共にカタギ仕様……そりゃ今見たらたまりませんなぁw
ありふれてるバイクながらスーフォアのVtecすら経験したことがありません……。
バルブ数切替の音とか聞いてみたいもんです。
--ちなみに東京タワーはとっても楽しい単車ですw


>Ryougiさん
エンデュランスがあったとは羨ましい……HONDAはやっぱり技術があるので、
つぎ込む方向性がツボにはまると凄まじいのがでてきますねw
近代族車ですと多分ゼファーバリオスですが、旧型族車で言うならやっぱCBXですから--HONDAの罪はでかい気がします。
80年代の目まぐるしさは今調べても本当にすごかったのだなぁとため息が出るばかりです。

--で、この先の話が伏せコメにした所以なのでしょうが……。
今の族--珍走の兄ちゃん達はどうにも技術も知識も追いついておらず残念です。
地元に帰ったときなどCB400SFが峠でカタナに煽られるようじゃ話にならんと思いましたが……。
9月に入り涼しくなろうとは思いますが、お互い身体に気をつけていきましょう。

No:1518 2013/09/02 02:23 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

訂正

説明不足ですいませんでした。

自分の乗らせてもらったCBRが愉快使用になってただけで、標準ならば指が挟まるという事はないと思われますよ?

付け加えますとそいつのCBRはREVの調子が悪いという残念使用でもありました。

No:1519 2013/09/02 12:36 | KNZW #qBVoaApM URL [ 編集 ]

懐かしいですね。
昭和末期、合宿免許での教習車がこれでした。
何台もあると程度もバラつきがあり、調子のよい個体は争奪戦でした。
VFRもありましたがCBRのほうが低速トルクがある感じでしたね。

No:1520 2013/09/02 23:24 | ウェムラ #- URL [ 編集 ]

注意”あつい”

学生だった頃、先輩と後輩が初期型に乗ってました。剥き出しの角パイプフレーム+リヤ一本サス(プロリンク)が当方の好みにドンピシャだったのですが、車検の壁でオーナーとなることはありませんでした。近頃は珍走の餌食になっているようで、残念でなりません。

CBXでは「オイルリザーバータンク」だったのがCBRでは「オイルクーラー」になったのも面白いですね。役所の認可対策だったのでしょうが、構造的にも異なるのかな?

No:1521 2013/09/02 23:34 | kazu #86jtnIRQ URL編集 ]

返信

>KNZWさん
ありゃ、はやとちっておりました。
さすがにHONDAがタンクで挟みかねない絞りハンドルは無いですかねぇw
CBRのREV不調は結構見る話ですが、やっぱり登場直後のメカは熟成が甘いのですね……。

>ウェムラさん
なんと教習車!……って考えたらそこそこ軽いしHONDAだし、
教習車として最適ですね。
--そのVFRが私の初教習車でした。ヤツはくせ者すぎでした。

>kazuさん
その「学生の頃に」というのが羨ましくあります。
やっぱりリアルタイムでいい時代のバイクを経験されてるのは羨ましい限りです。
ホント今となっては珍走が群がってるだけですから……。
CBXはどうも名称誤魔化しの認可で「リザーバータンク」だったようですね。
いやーそんなとこにも時代の変遷があるとは知りませんでした。

No:1523 2013/09/04 12:04 | Chaos-T #- URL [ 編集 ]

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2014/01/10 | 空我's Moto Life |

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学生時代に、ワタシがバイトして手に入れた初めてのバイクが、ホンダNS400R。友人のRG400Γに張り合った!(笑) こいつに決めるまでの間、しばらく別の友人に借りていたバイクが前回のVT250F、そして今回のCBR400Fなのだぁ♪ ワタシの数少ない車歴なのに… だのにぃ!! カオスさんに・・・   m9っ(;゜`_´゜;)5台も埋葬されてしまったのです!   &nbs...

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